今年2月「食っちゃ寝て書いて」で出会って以来、小野寺史宣さんの過去の著作を少しずつ読み進めて現在10冊。
既刊が30冊ぐらいあるようなので、これ・・残りの20冊も全部追いかけちゃう系だな、、と。つまり大変気に入っております。
出てくる人、出てくる人、本当に普通な感じの人だらけなんで、きっと何かが隠されているに違いない・・と読み進めると最後まで何もない、事件らしい事件もおきなかったりするので、はて・・と最初は思ったのですが、何だか心が整うような、読後の清涼感を感じて次に手が伸びる感じです。サプリ的な?
たまに軽い毒が仕込まれていたり、随所に物語としての仕掛けや工夫がそれとなくあったりして、そこは横尾さんを頭に浮かべながら(「食っちゃ寝て書いて」の主人公の小説家、おそらく小野寺さんの自己投影の姿)。
たまたま著作に出会った順番がそうさせるのですが、まんが道やバクマンのように、創作する著者の姿も想像しながら、それぞれの作品世界を楽しむことが出来るという複眼視点です。
さらに殆ど全ての作品の登場人物が他作品にも登場するクロスオーバー的な同一世界、これも仕掛けといえば仕掛けながら、小野寺ワールドに魅了される要因となっています。(ウォリーを探せ的にあちこちで見つかります、伊坂作品より大盤振る舞い)
(小野寺作品を勧める場合の順番での3選)
「ひと」が本屋大賞2位で一番売れているようですが、2008年の単行本デビューの「ROCKER」の荒削りさを感じてから他作品を読むのが楽しかったり。それもこれも、作家ご自身の姿を振り返った自伝的小説の「食っちゃ寝て書いて」から始めたからかも。
ハードSFなんかで人類の滅亡とかAIの覚醒とかを読むのと並行して読むと、振れ幅も大きくて読書の醍醐味を感じます。