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居眠り磐音をNYにて読了〜祝着至極に存じます

5月から貪るように読み続けてきた佐伯先生の居眠り磐音シリーズ、大団円を迎えたシリーズ最終巻、51巻を読了。

感動に打ち震えながら溢れる涙をこらえきれず@マンハッタンはブロードウェイ近くのスタバ。あまりに不審者すぎてNYPD通報される勢い。

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それにしても一介の浪人の人生絵巻を(元々中規模の藩の中老の嫡男だから坊ちゃんですけども)ここまで丁寧に追いかけ、波乱万丈な日々を通じて広がる周囲の人々との温かな交流を描き、身分制度の厳しい江戸にありながらも、上下ごっちゃごちゃなファンタジーを見事にまとめ上げられた手腕が素晴らしい。

佐伯先生がご自身のエッセー中で書かれているように、鳴かず飛ばずの初版作家、リストラ作家でいよいよ進退詰まった際に「あとは官能小説か時代小説しかないですね」と編集者の方がポツリともらされたという言葉がまさに慧眼。人生を変えた一言。(読者的にも感謝、感謝)

57歳で初めて書いた時代小説で一気に売れっ子作家へ転身されるとは、全くもって、祝着至極に存じます。。。

佐伯先生は磐音シリーズ以外にも、吉原裏同心シリーズ(既23巻)、古着屋総兵衛シリーズ(旧11巻、新12巻)、他にも何シリーズか多数の既刊があって(どんだけ多作なの!?)次をどうしたものか迷ってしまいます。

1-2ヶ月他の作家さんらにも目を向けた後、また佐伯作品を手に取ってみようかと思います。(再びハマってしまうのは必至かも)

最後に磐音読本を手に取ったら、今津屋の老分、由蔵さんとおこんの出会いを描いた中編が収録されていて、また胸がキュンとしてしまいました。

古くは司馬遼太郎先生にはじまり、池波正太郎先生の主な作品を貪り読み、最近では女料理人を描いた高田郁先生のみおつくし料理帖シリーズや、江戸の市井の人々の暮らしを描いた山本一力先生の作品群をどっぷり読んだ上でたどり着いた佐伯先生のシリーズ。佐伯先生の作品は勿論、時代小説というジャンルにたっぷりと未読作品が残っているのが嬉しくてしょうがないです。

居眠り磐音

2016年の濫読ライフ、ちょっと勢いづいてきました。

 

 

初めて手に取った佐伯泰英先生の居眠り磐音シリーズ。シリーズ累計発行部数は2,000万部!というのですから、文庫書き下ろしの時代小説として大ヒットも大ヒットな作品。(大人のラノベと言われているそうですね)

2002年から刊行され、最近2016年1月に51巻が出てシリーズが完結したばかりとか。(日経新聞の下の書籍広告で知りました)ゴルゴ13や美味しんぼばりに連載が続いているなぁとは認識していましたが、今回、慎重に手を伸ばすことに。

なぜ慎重にかと言うと、古くは池波正太郎先生の剣客商売や鬼平を精読し、ここ数年でも山本一力先生の江戸庶民物を読み漁り、現代でも誉田先生の武士道シリーズなどに心踊らされ、且つ長編でも過去にグインサーガや北方先生の水滸伝などをしつこく読んでいる自分にとって、江戸時代ものx剣術x長編シリーズ(51巻で完結)というのは、どう考えても自分はハマる可能性が高いな、、と予め思っていたためです。

案の定、一瞬で磐音の世界にもっていかれて最初の5冊を読んでしまいました。許婚が吉原の苦海に堕ちる・・って、いきなり高田先生のみおつくし料理帖シリーズを彷彿させます。(こちらも素晴らしい時代小説シリーズ、10巻で大団円)

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(我が家の居眠り先生、器用に水筒をお腹に乗せて寝入る図)

果たして許婚の身請けに必要な何千両ものお金を手にいれることなど出来るのだろうか。などと磐音にかわって心配したり。

江戸時代の1両の価値を現代に換算しなおした金額は数万円から40万円程度まで諸説ありますが、お蕎麦の代金(16文)から換算した1両=約13万円をとりあえずの自分の目安にしています。(→江戸時代の一両の価値ってどれぐらい

すると1,000両は1億3千万円・・・おいそれと用意できる金額では無い事が直ぐにわかりますね。磐音が生活のベースとして毎朝2時間ほど働いている鰻屋での鰻割きの仕事が給金が上がってもようやく1日100文ですので。(約3,250円)あとは各通貨の、1両=4分金(銀)=16朱金(銀)=4,000文、という関係も頭に入れておくと理解しやすいです。

とにかく本人も浪々の身で日々の生活にもよく困るぐらいお金がありませんが、出身の小藩も数年分の収入の借金を抱えておりこれもなんとかしなくてはいけませんし、とにかくいつの世も大変だなと考えさせられます。(更に比較にならないぐらい強固な身分制度、階級社会な訳ですし)

どうやら当分は磐音の活躍に喝采を送りながら、江戸と現代を行き来する生活を送る事になりそうです。(2016年は濫読の1/4が磐音になりそうな予感・・・というか必然か)