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居眠り磐音

2016年の濫読ライフ、ちょっと勢いづいてきました。

 

 

初めて手に取った佐伯泰英先生の居眠り磐音シリーズ。シリーズ累計発行部数は2,000万部!というのですから、文庫書き下ろしの時代小説として大ヒットも大ヒットな作品。(大人のラノベと言われているそうですね)

2002年から刊行され、最近2016年1月に51巻が出てシリーズが完結したばかりとか。(日経新聞の下の書籍広告で知りました)ゴルゴ13や美味しんぼばりに連載が続いているなぁとは認識していましたが、今回、慎重に手を伸ばすことに。

なぜ慎重にかと言うと、古くは池波正太郎先生の剣客商売や鬼平を精読し、ここ数年でも山本一力先生の江戸庶民物を読み漁り、現代でも誉田先生の武士道シリーズなどに心踊らされ、且つ長編でも過去にグインサーガや北方先生の水滸伝などをしつこく読んでいる自分にとって、江戸時代ものx剣術x長編シリーズ(51巻で完結)というのは、どう考えても自分はハマる可能性が高いな、、と予め思っていたためです。

案の定、一瞬で磐音の世界にもっていかれて最初の5冊を読んでしまいました。許婚が吉原の苦海に堕ちる・・って、いきなり高田先生のみおつくし料理帖シリーズを彷彿させます。(こちらも素晴らしい時代小説シリーズ、10巻で大団円)

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(我が家の居眠り先生、器用に水筒をお腹に乗せて寝入る図)

果たして許婚の身請けに必要な何千両ものお金を手にいれることなど出来るのだろうか。などと磐音にかわって心配したり。

江戸時代の1両の価値を現代に換算しなおした金額は数万円から40万円程度まで諸説ありますが、お蕎麦の代金(16文)から換算した1両=約13万円をとりあえずの自分の目安にしています。(→江戸時代の一両の価値ってどれぐらい

すると1,000両は1億3千万円・・・おいそれと用意できる金額では無い事が直ぐにわかりますね。磐音が生活のベースとして毎朝2時間ほど働いている鰻屋での鰻割きの仕事が給金が上がってもようやく1日100文ですので。(約3,250円)あとは各通貨の、1両=4分金(銀)=16朱金(銀)=4,000文、という関係も頭に入れておくと理解しやすいです。

とにかく本人も浪々の身で日々の生活にもよく困るぐらいお金がありませんが、出身の小藩も数年分の収入の借金を抱えておりこれもなんとかしなくてはいけませんし、とにかくいつの世も大変だなと考えさせられます。(更に比較にならないぐらい強固な身分制度、階級社会な訳ですし)

どうやら当分は磐音の活躍に喝采を送りながら、江戸と現代を行き来する生活を送る事になりそうです。(2016年は濫読の1/4が磐音になりそうな予感・・・というか必然か)

作家の収支

タイトルに魅せられ手が伸びた新書・・作家の収支。

そこにはまさに驚くような世界が広がっていました。

まず、著者の森博嗣さん・・・聞いたことはあるけど読んだことなし。1996年に38歳で小説家としてデビュー、以来19年間で90作品、278冊の出版、・・・って、完全に大作家ですねね。でも、この書き出しを読んでいくだけでちょっと変わった方という匂いがプンプン。

一番売れたデビュー作「すべてがFになる」の累計発行部数が、ノベルス版と文庫版を併せて約78万部。この作品だけで、約20年かけて6,000万円近い印税収入があったというから驚きデス。そしてその創作にかけた時間は、校正も含めてわずかに約60時間。なんと時給100万円換算。。

常に新作を出してきたので常に一定程度の新規顧客が第一作を手に取ってみるということが起きてデビュー作が今もコンスタントに売れているそうです。(ドラマ化でも再度売れたようですし)

そもそも大学の助教授としての本業がありながら、趣味に使うお金が欲しくて夜のバイト感覚で小説を書いてみたというだけでぶっ飛んだ背景の気がしますし、それから10年間は大学での勤務続け、忙しすぎるのがいやで2008年末に作家業から引退。現在は1日に1時間だけ小説の仕事をする引退作家なのだとか。ほぇぇ。

ここまで読まされたら、当然読みますよね。

・・・・感想。

こんな作品を脳内に浮かぶ映像を文字に変えながらわずか30時間で書き上げるなんて・・これはいわゆる天才。

19年で90作品、278冊の出版、総部数は約1400万部、稼いだ総額は約15億円・・と言われても納得せざるをえません。なぜなら僕自身が既にFの次の二作目を買ってしまっているから!

こちらの作品を読んで自分も一億総ブログ時代のしょうもない書き手の一人だよなぁ・・・と苦笑してしまいましたが、森博嗣先生のように天才的書き手に憧れて、いまだに多くの人が作家を目指すのかなぁ・・とも。(自分はむしろ絶対読み手でいこう、と決意しましたが)

「作家の収支」「すべてはFになる」セットで読むと、作家という職業への才能とそのリターンについて色々考えさせられるので、書くことに興味がある方にはオススメではないかと思います。

鹿の王

もう既に巨匠の貫禄の上橋菜穂子先生の最新作。
2015年本屋大賞第1位おめでとうございます。

図書館で見かけたのですが、感謝の気持ちを込め著作を買いたくて一時帰国時まで引っ張りました。上下巻2冊で3,200円がお得と思わせてくれる本はそうありません。

私などがオススメせずとも既に100万部売れておりますので今更感もありますが、それでも、上橋菜穂子先生の、守り人シリーズ全10巻を読んでいる? 獣の奏者4巻+外伝を読んでいる? じゃあ、狐笛のかなたは? バルサの食卓は?(・・うるさい)と問いかけられ、当然YESと答える方ばかりでもないと思うので、自分の周囲の大事な人にオススメするのはやはり重要ではないかと思うのです。

守り人シリーズなんかは、北海道に住む大学時代の親友夫婦の子供向けに半ば押し付けるように全巻買って送ったし。

妻、母や弟、妻のご両親、本作をオススメしたい方が沢山頭に浮かびます。今回の鹿の王は医療小説的な要素もあるので獣医の義弟にも是非読んでもらいたいなぁ。(まだ未読だったら買って送ろう)

小説の書評って難しい気がしますが(結局読まなきゃわからないし、人によって受け取り方も違うし)・・

自分にとって響いたのは、一つの世界を徹底的に作り込んだ緻密なアプローチ、二人の主人公が抱える物語とその二人の人生が交錯するまでのストーリー展開、そして本を閉じた後も、きっとこの世界の物語は続いていくんだろうなという圧倒的な存在感と現実感。(どの作品にも共通するところですが。)

小学生の頃、ミヒャエル・エンデの「はてしない物語」が好きだったのですが、あの、これは別の物語、いつかまた、別の時にはなすことにしよう・・的な、今考えるとうっちゃり的な突き放し感とは又違う感じの継続感。

帯に「この面白さ世界水準!!」とありましたが、まさに世界中に誇りたい。

 

 

新宿鮫シリーズ

先日久しぶりに大沢センセイの著作に触れ、鮫様の再読を決定。
最新刊に手を伸ばす前に過去作品を振り返りたくなりました。

新宿鮫 新装版: 新宿鮫1 (光文社文庫)/光文社
¥778
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毒猿 新装版: 新宿鮫2 (光文社文庫)/光文社
¥929
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屍蘭 新装版: 新宿鮫3 (光文社文庫)/光文社
¥886
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無間人形 新宿鮫4~新装版~ (光文社文庫)/光文社
¥価格不明
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上京して社会人になった際の最寄りのターミナル駅が新宿だったので、おっかなびっくり歌舞伎町界隈を歩きまわった昔を思い出します。今やすっかり足が遠のきました。

夢をかなえるゾウ/飛鳥新社
¥1,728
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夢をかなえるゾウ2 ガネーシャと貧乏神/飛鳥新社
¥1,620
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こちらもなんとなく懐かしくて。

水野さんがミズノンノとしてオシャる技術というネット連載を始めた頃に注目し、本人への興味が募って、恋愛教師 水野愛也という謎のセミナーに足を運んだっけ。

その後にこの夢をかなえる象が200万分を超えるミリオンセラーとなりました。同世代の一人としては引き続き応援したいと思ってます。

さらば国分寺書店のオババ (新潮文庫)/新潮社
¥555
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シーナ先生の昭和軽薄体なる文体のデビュー作品と解説があったので、あらためて読んでみました。確かに軽い。

悶絶スパイラル/太田出版
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舟を編むは面白かったなぁとおもいつつ、三浦しをんさんのエッセーを。確かに笑えるけどちょっと自分テイストでもない気が。

ヴァニシングポイント/マガジンハウス
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31歳で肺癌となり余命2年と宣告され、念願の小説発売後3日目に死去。最後のブログが「死にたくないな。書店で会いたい。本屋でセットで買ってくれ。」読了後、40歳まで生きられたことにしみじみと感謝。

竜の涙 ばんざい屋の夜/祥伝社
¥1,620
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女将が一人で切り盛りするカウンターだけの小料理屋を軸に繰り広げられる人間模様。自分にとってのばんさい屋、休み屋に行きたくなりました。

これが第2作というので、早速1作目をポチッとな、です。

2015年はかなりのハイペースでの濫読となっております、今のところは。

■ 53冊(2015年)

魔弾の王と戦姫

ライトノベルというのは日本独特のサブカル存在らしい。Wikiでは、表紙や挿絵にアニメ調のイラストを多用している若年層向け小説とある。

確かにKindleやAmazonじゃなければ、ちょっと買えませんねこの表紙。電車の中でカバー無しで読書とかできないでしょう、マジで。

魔弾の王と戦姫 MF文庫J/KADOKAWA / メディアファクトリー
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魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉10 (MF文庫J)/KADOKAWA/メディアファクトリー
¥626
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カバーや挿絵は好みに合いませんが、なかなかに読ませる筋運び。アルスラーン戦記やグイン・サーガをライトにしたような。(だからラノベなのか)

Kindleをいじっていて、ラノベジャンルのベストセラーに並んでいたのでつい。読み始めると止まらず、気がつけば既刊10冊を読了。(この10月からアニメ化だそうでおめでとうございます。)

しかし、2014年の読了が100冊となった時には、うち10冊がこのシリーズとは。少々恥ずかしい気もしますが、面白いものは面白いのでしょうがない。

古くは中学生の時に読んだソノラマ文庫での菊地秀行さん、ロードス島戦記の水野良さん。当時からすれば既に古典の平井和正さんらからはじまる自分のラノベ読者歴。

40歳になってもまだ読めるのは頭が柔らかいのか、成長していないのか。

はて。

■ 92冊 (2014年)