偉大な経営者も干されていた〜小林一三

積読本の中で後回しにされがちなのが厚みのある一冊。

大好きな経営学者の楠木先生お勧めに従って購入したと思われる経営者評伝のうちの一冊。

阪急グループの創始者、近代日本を代表する経営者として名高い小林一三翁の刺激的な人生を追いかけるつもりで読み出してまず度肝を抜かされたのが、破天荒ともいえる遊びぶりと、初めての勤め先である三井銀行にて徹底的に干された日々。

ご本人曰く「堪へがたき憂鬱の時代」と整理されている銀行員時代ですが、これが数年どころか、明治26年の入行から、明治40年に退職するまで実に14年近くも続いている訳ですから驚き。

すったもんだの大恋愛の末に結婚された舞妓の奥様と子宝に恵まれての家庭生活の一方で、直接上司に徹底的に睨まれての左遷の日々。明治の世も今の世も、色々あるなぁ、、と。

そんな鬱々としていた小林一三翁も鉄道ベンチャーで大いに当てられ、その後の宝塚歌劇団、阪急百貨店、東宝、第一ホテルに阪急ブレーブス・・と大活躍が続く訳ですから、まさに大逆転。

一緒に暮らした家族も、その取り巻く人生の変化を大いに楽しまれたのでしょうか。江戸から明治に辿り着くまでの日本もとても面白いですが、それ以降の近現代も面白い。